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モツ鍋フィーバーより誕生。

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ショートなメガミラ下巻感想②

というわけで、本格的な感想(長い)をアップするには時間がかかるので、先にショートバージョンその2を。

また前回と同じく、ツイッターでのつぶやきを再構成しています。今回のテーマは、生きること、親子のこと、続編であるということ。
自分の過去の感想を読み返していたら、『原大陸』で「シビアな状況だけど、絶望で終わることはないと思う。旧シリーズで示したことの回答が描かれるのでは」とあって、正しくその通りになったなーと。要は、秋田先生が描きたかったことは、昔から変わっていなかったんだと思います。

新シリーズを読んでいて思ったのは、どんなに大変な状況(戦争)であっても、日々の営みを続けるシーンが必ずあったこと。ご飯を食べ、眠る時に眠り、衣服を繕い、洗濯をし、修繕をする。下巻の舞台がほぼフィンランディ邸、しかも殺し合いより話し合いのシーンが多いのは、象徴的だと思いました。

何が起きても、人間は生活して生きていかなきゃいけない。安直なカタストロフィという「分かりやすさ」を求めるのは、後ろ向きなニュアンスがあると思います。ぜーんぶリセット!すれば全てが救われる。マルカジットが囁いたのは、人間の尊厳の否定にも繋がる気がします。思考停止せよとも、とれるから。

前へ前へ進もうとする自由意思が、人間の存在価値そのものなのかな、と読んでいて感じました。作中で繰り返し語られる、その人の価値は、誰かの役に立つという実用性(損得を計るもの)で決まるものではない、という姿勢も好き。

必要な時に必要なことをやり遂げられる=ありのままの現実をしっかり見て、受け入れる。ちゃんと物事を理解できる。抽象的だけど、目に見えないし役に立たないものかもしれないけど、そういうマインドを大切に描いているから、秋田先生の作品が心地良いのかなと思います。

マクレディ・パッキンガム家の家庭問題については、リアルだと思いました。だって、ものすごく優等生な夫妻が、育て方にそこまで悩まない(自分たちと同類だと思ってる)長男を経て、初めて自分たちとは違うイレギュラーな長女に、どう向き合えばいいのか分からなかっただけだから。

猫のしつけだけで5kg痩せたティッシだもの。マニュアルがないもの、自分とは異質なものと接する機会のない魔術士社会で生まれ育ったら、理解の仕方も分からなかったと思います。イザベラ先生は独身だし、相談相手もいなさそうだし。

娘は極端に魔力が低いようだ→魔力は本人の資質だから、自分たちで対処できない→こんな魔術士社会で生きていくのは大変だろう→せめて無駄にしないように育てなきゃ、という考え方は理解できます。娘としては、ハンデがあってもそれて良いよって、ありのままを受け入れてほしかっただけだったとしても。

つまり、ベイジット以外の3人がほぼ同じ価値観を共有していたから、こじれちゃったんだと思うのです。娘の救出を友人に泣いて頼むのが、ああティッシだなあと。ティッシとベイジットは本当にそっくりだと思います。家族を失うのを誰よりも恐れているのに、嫌われるのが恐くて、本音で向き合えなかったところが。

オーフェンとクリーオウの子育てが上手くいった理由は、初めからふたりは「パートナーは違う価値観を持った他人である」ことを知っていたからじゃないかなと。たぶん、三姉妹に「魔術士だから/子供だから」こうあるべき、と一度も押し付けなかったんだと思います。三姉妹はのびのび育った感が凄いある。

で、原大陸の旅でマヨールもベイジットも、多様な価値観を持った人たちと交流し、揉まれ、見なければならないものは何か、理解して見ることができた…。理解できないと思っていた家族は、自分と同じ、不器用で情けない、ただのありふれた一個人にすぎないのだということを。

秋田作品の主人公たちにとって、世界にどんな破滅が迫っていようと、多くは家族の問題(欠如、無理解)の解決に、回帰していくのは面白いなと思います。オーフェンやマヨベジは言わずもがな、失踪した姉と父を求めた「エンハウ」、母の愛の復活を渇望した「シャンク」、父の過去を辿った「ベティ」など。

古今東西の物語の主人公は、満たされない飢えを抱えて彷徨い、それが満たされた時に物語は結末を迎えます。マヨールとベイジットの家族への想いが満たされた。これがカタルシス以外の何と呼べるのか。「まあついでにうちの人」の長年の問題は、浄化というより、肩の荷が下りたと呼ぶのがふさわしいかと。

話はずれますが、現実の時間経過をすっ飛ばして、「過去の思い出」を強制してくる、昨今の続編商法が私は苦手です。そんな中、作中も現実も時間が流れ、変化と変化しなかったもの両方を織り込み、新しい物語を再構築してみせた「オーフェン」は凄い作品だと思いました。

前にも書いたけど、過去は二度と戻ってこないから美しく見えるのであって、あくまでも思い出にすぎないと思います。現在でも過去が通用するんだ!と縋れば縋るほど、やっぱりグロテスクに見える。それはゾンビだよ。防腐剤を振りかけても、過去は今に甦ることはないと思います。

それより、過去を内包して、新しい未来を手に入れるために、現実と戦いながら生きる人たちが、私は大好きです。そうやって頑張ってきた人たちの数年、数十年は決して無駄なんかじゃなかったと思います。全ての意思や行動が、「今」を作り上げるんだと、こうしてリアルタイムで目にしているんだから。

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Author:リセ
『オーフェン』後日談連載がきっかけで誕生。秋田禎信作品の二次創作や感想など。

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