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モツ鍋フィーバーより誕生。

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悲惨で美しい世界の終わり(上)

『鋏の託宣』総括感想です。時間がかかってしまいましたが、やっと自分の中でまとまりました。

長いので上下となります。感想というより自分の思い出語りと化している気がしますが、よろしければ続きからどうぞ!

『鋏』で初めて理解できたように思える、「なぜ秋田先生は、オーフェン新シリーズを“今”、書こうとしたのか」という考察は、刊行時に戦友・サヤカ嬢と語り、彼女がまとめたこの記事が全てです。
これから私が書くことは、ほぼ思い出語りに近いので、先にそちらの記事を読んでいただいた方が分かりやすいかと。


『鋏』刊行から約8ヶ月間ずっと、感想を考えていました。その間、旧シリーズを読み返していたのですが、強烈に思ったのは、「旧シリーズは、“終わってしまった話”にすぎないんだ」ということです。
ちょうどしゃべるシリーズとして「無謀編」新装版が刊行されていたので、余計そう感じたのだと思います。気楽な学生時代も、10代のモラトリアムも、世界情勢なんて気にしない旅も、二度と戻れない遠い過去でしかない。

停滞に繋がる死を拒絶し、絶望と共存する世界を選択した代償は、人と人が殺し合って社会を築き上げていく現実。救世主として犠牲にならず、秩序を壊して君臨する力を手にいれたから、大勢に恨まれ、オーフェンは魔王と呼ばれた。

23年経てば立場も変わるし、家族や同僚、部下といった守らないといけない存在も増えるし、建前と本音を使い分けて政治をしないとならない。
かつての人間関係が断絶する。死んだ方がマシだと言われるくらい、過酷な仕事をしなくちゃならない。原大陸では、オーフェンを取り巻く環境では、厳しい現実が渦巻いています。

人が容赦無く死んだりするので、読むのが辛くなる人もいると思います。女神やカーロッタなど、向き合わなくちゃならない相手が強力で、好きなキャラの死を不安がるのも分かります。
でも、「オーフェン」という作品は昔から、どこか現実を反映する写し鏡だったように思えるんです。

私が読み始めたのはアニメ放映時の98〜99年で、漠然とした不安として終末論が囁かれていました。今までの世界が終わるとも、逆に新しい何かが始まるとも言われていた気がします。その時は、夢が終わり、心地良い楽園の崩壊とそこからの脱出を描いた『楽園』が刊行されました。
遠い国の出来事が何気ない日常と地続きであり、いつ平穏が崩壊してもおかしくないと知った2001年の同時多発テロ。その前後に人が次々死ぬ、暗く重い雰囲気の『銃声』『虚像』が刊行されました。

そんなの偶然だろと言われそうですが、そもそも旧シリーズが始まった94〜95年は、オウム事件の頃でしたね(『狼』のあとがきでも触れていましたが)。狂乱だったらしいバブル期が終わり、徐々に閉塞感が漂い出した90年代&人災や天災といった具体的な破滅を目の当たりにした2000年代それぞれの雰囲気が、どこか影響し、作品の背景にあったのかも? と読み返した時に思いました。

最終巻の『扉』上下巻が出た時のことを強烈に覚えているのですが、2003年当時はイラク戦争が起きました。その時初めて、「日常にも影響する、具体的な、でも一個人にはどうすることもできない不安」に直面したと思っていました。
そんな中、オーフェンが絶望するクリーオウへ叫んだ「何かあるんだ!奇跡はないかもしれないが、何か似たようなものが!でなけりゃ、誰も生きてなんていけるものか!」に、「何かって、一体なんなんだよ?」と思ったんです。

あまりにも漠然として、得体の知れない、その「何か」を信じれば本当に絶望の中でも生きていけるのか。
当時は良く理解しきれず、自分の中で咀嚼しきれなかったのですが、エピローグで奇跡ではないもの=レキをオーフェンから受け取り、本格的に前を向こうとしたクリーオウの姿で「希望」を描いたんだろう、とその時は解釈したと思います。

それから月日は流れ、そんなオークリが再会する後日談がサイトに掲載され、ファンサービスの一環としてオマケの後日談が豪華版として限定販売されました。
もちろん、本来は読めるはずのなかった「その後」が読めて嬉しかったのですが、あくまでファンサービスでしかないんだよな…と思っていました。確かに設定と物語は別ですからね。

そして、新シリーズ立ち上げを発表した直後、「誰もがその出来事の当事者になり」「具体的で誰にでも可視できる不安と絶望」が、地震をきっかけに、日本中に溢れ出しました。


(下)に続きます!
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リセ

Author:リセ
『オーフェン』後日談連載がきっかけで誕生。秋田禎信作品の二次創作や感想など。

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