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モツ鍋フィーバーより誕生。

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クリスマスイブより愛をこめて!

ご無沙汰しております!! 年末進行で慌ただしく、すっかり更新が滞ってしまい、申し訳ないです…。この数日を乗り越えれば、もう少し余裕ができるので、今月もできる限り更新はしていきたいなーと思っています。

「しゃべる無謀編2」も、まもなく発売されますね! もう手にしている方もいるようですが、私は発売日より後のゲットになりそうです。ゲットしたら、また感想を! 若き日のフォルティッシのエピソードですしね!

さて、久々な更新は、クリスマススペシャルな企画をお届けします。先日、ひょんなことから「シマシマ」のmaiさんに、とあるイラストを描き下ろして頂く機会がありまして。その素敵なイラストに、私がお話をつけました。
どんな内容かというと…。スペシャルな感じです(笑)。ウフフ!

ではでは、続きからどうぞ!


Not the End of the World

 真っ白な砂が、どこまでも広がっているように見えた。
 午後の陽の光に照らされ、淡く輝いた砂浜。寄せては返す波は、撫でるように砂を濡らす。
 細かく砕けた貝が混ざっているような、さらさらの砂粒だ。一歩一歩、慎重に踏みしめても、簡単に足がとらわれてしまう。決して不快な感触ではないが、進むごとに足首が沈んでいくような落ち着かなさがある。いつもの鉄骨入りブーツだけが頼りだ。
 そう、今日という日であっても、いつもの格好だ。苦笑を噛み殺して、オーフェンは隣を歩く金髪の娘に目をやった。
 普段通りの黒ずくめのこちらに対し、クリーオウもおおむねいつもと同じ格好だ。くたびれたシャツにジーンズ。唯一の違いは、帯剣の代わりにレースのベールを被っていることだ。一級品とは言い難いが、繊細な刺繍がほどこされた上品なベールは、彼女に良く似合っていた。
 ベールが風に吹かれて広がる。クリーオウが頭を軽く片手で押さえる。もう片方の手は、オーフェンの手と繋いでいる。
「この大陸に来て、それなりに経つけど」
 クリーオウがしみじみとつぶやく。
「こんな綺麗な砂浜もあったのね。ぜーんぜん、知らなかった」
「それなりにって言っても、俺たちが開拓できた範囲なんざ、たがが知れてるだろ。ここみたいな、穴場ってもんがまだまだあるあろうな」
「そうだね。もうちょっと、向こうまで歩いてみる?」
「ああ。けど、あまり遠くへ行き過ぎないようにしろよ。あいつらは待っていてくれているんだぞ」
「うん」
 肩ごしに振り返る。ふたりの足跡だけが砂浜に残っている。数十分前まで、式を挙げた簡素な建物――臨時で教会として使用した――、は彼方で見えない。
 立会人となってくれたサルアらをはじめ、式には懇意にしている数人が参列してくれた。開拓民の総数を思うとわびしい参加人数ではあったが、オーフェンらにはふさわしいだろう。開拓民から弾かれたふたりには、世界の果てのような場所で永遠を誓うのがふさわしい。
「ロクな……」
「え?」
「ロクな用意もできなかった。すまない」
 本来なら、豪奢に飾り立てられ、式を迎えられる家の生まれなのに。オーフェンの詫びに、クリーオウはかぶりを振った。
「そんなことないわよ。メッチェンが色々な人に声をかけて、皆でこのベールを編んでくれたんだし、サルアが手回しして、この指輪も見つけてくれたんでしょ?」
 左手の薬指を掲げる。石のないリングが微かに光った。
「わたしには、充分すぎるくらいよ。こんな形で結婚式を挙げることになるなんて、子供の頃は思ってもいなかったけど」
「俺もだ」
「オーフェンが?」
「……何だよ。その意外そうな顔は」
「だって、あまり自分の結婚のことなんて、真剣に考えているタイプに見えなかったんだもの」
「そうかあ?」
 真面目な顔で彼女が頷く。
「昔は特にそうよ。旅をしている頃なんて、そんな素振り見せなかったでしょ」
「まあな」
「そもそも、初めて出会ったの、うちのお姉ちゃんに結婚詐欺をしに来たとこだったし」
「言うな。それは言うな」
 彼女が当時の感想をぽつぽつと語っていく。しかし、たった数年前の出来事であるにもかかわらず、全てが遠い過去の出来事のように聞こえた。
 あの頃と比べて、何もかもが変わってしまったのだ。自分も、周囲の人間も、世界も。
 隣で楽しげに語るクリーオウも、大きく変わった。そして今日、もう一度変わった。
 共に歩いていく存在として。この世界にたったひとりしかいない、彼の隣を歩く者として、永遠を誓い合った。
 砂を踏みしめるリズムが崩れた。
「きゃっ!?」
「……って、大丈夫か」
 オーフェンの腕にぶら下がる形で、クリーオウがしがみついてきた。ブーツの片足首が丸々砂に埋まっている。深い穴に足を突っ込んでしまったのだろう。
「な、なんとか……ひねってはいないと思う。って、痛」
「まったく。しゃべりに夢中になっているからだろ」
「なによ」
「ま、文句を言えるくらいなら平気そうだな」
 顔をしかめて寄りかかる彼女を支えながら、ブーツを砂から抜いた。ブーツを脱がせ、素足を軽く触る。ひどく腫れてはいないようだった。
「歩けるか?」
「……たぶん」
 弱くつぶやいて、一歩踏み出そうとする。が、たちまちクリーオウは顔をしかめた。手にしていたブーツに皺が寄る。
「あんまり、大丈夫じゃないかも」
「やっぱりな」
「どうやって戻る?」
「じゃ、こうでもするか」
 オーフェンは嘆息すると、彼女を抱きかかえた。胸元で小さく悲鳴が上がる。
「きゃっ!?」
「嫌か?」
「嫌じゃない……けど、重くない? けっこう、教会まで歩くでしょ?」
「心配しなくても、俺はお前を落としたりはしないよ」
「ホントに?」
「ホントだ」
「誓う?」
「まだこれ以上誓うっていうのかよ」
 クリーオウは彼の頬に顔を寄せ、首に腕を回した。
「ただ言ってみたくなっただけよ。今日は特別だから」
「そうだな」
 クリーオウは抱えられながら、器用にもう片方のブーツも脱ぎ、手に持った。オーフェンは彼女を抱え直した。砂浜に足跡をつけて進む。
「あれ、そっちに行くの? 戻らないの?」
「もうちょっとだけ、歩いてみたくなったんだよ」
「このまま?」
「このまま」
 両腕に、軽くはない重みを抱えている。暖かくて柔らかな、零れ落ちなかった重みだった。愛おしい重みを抱きながら、オーフェンはゆっくりと歩いていく。
 穏やかな陽光も、静かな波の音も、吹き抜ける風も、全てが優しかった。
 世界はふたりを祝福していた。
「クリーオウ」
「なに?」
 彼女の耳朶に囁く。クリーオウは夫に笑いかけた。
「わたしもよ」
 妻の言葉は風に乗り、白い砂浜に拡散していく。



『愛してる』

Not the End of the Wolrd





ある時、maiさんに「オークリの結婚式イラストを描いてください!」とリクエストしたところ、このような素敵イラストを頂きました。
「これ独占するのはもったいないですよね!? じゃ、このイラストにお話をつけます! で、アップさせてください!!」ということで、今回のスペシャルコラボが実現しました。ご快諾してくださったmaiさん、本当にありがとうございましたv

今回のコラボにあたり、色々な方にもご協力頂きました。その節は、どうもありがとうございました!
そして、ここまで読んでくださった皆さんに、喜んで頂けますと幸いです。それでは、メリークリスマス☆


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2012-12-24-04-32 短編 : コメント (0)件
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リセ

Author:リセ
『オーフェン』後日談連載がきっかけで誕生。秋田禎信作品の二次創作や感想など。

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