FC2ブログ

モツ鍋フィーバーより誕生。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------------- スポンサー広告 :

『魔術学校攻防』感想⑤

全体総括感想の続きです。今回は、主に魔術・マヨール・ウォーカーについてです。

続きからどうぞ!


◎魔術って何?◎
・今回のラストを読んで、ちょっと思ったのは某ハガレンよろしく、「魔術消失エンド」もありうるのかなーと。いや、可能性は限りなく低いと思いますけど!
・旧シリーズでは、クリーオウがタフレムで「魔術士の考え方が気に入らない」と言っていましたが、その意味が良く分かったのは新シリーズに入ってから。
・暴徒化した市民の言い分と、魔術学校の一部の魔術戦士の特権意識(無能力者!と蔑むなど)を見てると、そりゃお互いの溝も深まるわな、と思いましたね。
・で、そもそも、世界のシステムが崩壊したのも、ベイジットがあそこまでひねくれたのも、「魔術さえなければ、こんなことにはならなかったんじゃないの?」となりまして。ベイジットの行う“革命”が、「魔術が絶対的ではない世界を革新する」ことにつながるんじゃないだろうかと考えました。
・魔術がなくなったら、それこそ大陸の秩序が再び混乱しそうですが、「リスクを皆が平等に背負っていく」道にも繋がるんじゃないか? ということも考えました。でもこのラストだと、「魔術によって生まれた罪を帳消しにするのか」と“逃げ”の解釈になりそうなので、ないとは思います。
・これはただの思いつきなんですが、魔王術をヴァンパイアや神人にぶつければ消滅することができるなら、人間や魔術士に魔王術をぶつけたらどうなるんだろう? と。魔術のみを剥がすことはできるのかなーと、ちょっと思いました。
・レキ(ディープ・ドラゴン種族)が魔術を会得する前は、次元渡り獣ピルグレオというびっくり生物だったので、魔術を会得する前の人間はどんな性質だったんでしょう?

◎主人公の条件とは◎
・今巻、女性たちに振り回されることが多かったマヨールですが、読み返せば読み返すほど、「だからマヨールが新シリーズの主人公なのかも」と思いました。
・『解放者』インタビューで、秋田先生いわく「選択を突き付けられる場面で、どんな行動をとるか分からない未知数な奴が主人公。魔王三姉妹は次に取る行動がハッキリしているから、主人公にはなれない」。
・一見、能力の高い魔王三姉妹こそ「主人公たりえる資格」を持っているように思えます。
・ラッツが『原大陸』で、「ヴァンパイア症が進行しているところのみ狙えば、力を剥ぎ取って、元の人間に戻すことはできないのか」と提案していました。で、今巻ラチェも姉とネットワークで同調できることが判明したので、「魔力が膨大なラッツ・制御に特化したエッジ・(不確定であっても)未来予測を行えるラチェ」が力を合わせたら、ヴァンパイアの無力化(殺さずに済む)もできそうだなと。
・こう見ると、魔王三姉妹の役割はハッキリしています。どんな選択を突き付けられようが、「家族を守るため」に全力を尽くす。でもだからこそ、それ以上物語の行く末を体現することができないのではないか? と思います。

・一方のマヨール。読み返せば今巻も見せ場がきちんとあったり、良いこと言っていたり、オリジナルに開発した魔術と戦闘センスで危機を切り抜けたりと、充分凄い。
なのに、魔王術が使えず、アクの強い婚約者や教師、三姉妹に押されて影が薄いだの、ハードなはぐれ旅な部分は妹が体現しちゃっているだの、いいとこなしです。
・だけど唯一、「自分がどうしたいか、どう動くのか」がまだ決まっていない人間です。妹を止めて生かしたいのか、殺したいのか、決めかねたまま原大陸に来て、未だ自分のやるべきことを模索しています。
・旧シリーズのオーフェンに比べれば、ハードな経験が足りないじゃん!となりますが、マヨールにそのままオーフェンの経験をトレースさせても全然意味がないと思います。じゃ、オーフェン一人で主人公やってればいいじゃんとなりますし。不良中年(でも内面は純粋)と、生真面目青年(でも内面に狂気を抱える)なら、それぞれ動く理由も異なります。

・昔のオーフェンはクリマジを連れていたので、「自分がしっかりしなきゃ」という保護者モードでした。この時は、自分が危ういから足手まといの二人が重しになってくれる、というニュアンスだった。
・対するマヨールは、同行者はイシリーンとイザベラ。それぞれが自分で自分の身を守れる上に、自分たちが果たす役割もハッキリしています。
・「妹を殺したがっているようなトンチキ野郎でも一緒にいるほうが、別れるよりはマシだと思ったから止めなかったのよ」とさらっと愛の深い言葉を婚約者は言ってくれたり(しかも悪事の片棒を絶対に担いでくれる)。
「啖呵を切ったなら、あとはをやり遂げなけりゃ、口に溜まったチンカス野郎ってもんよ」と先生は激励(?)してくれたり。この二人は、マヨールが危うくなったら、乱暴であっても愛をもって全力で止めてくれる。この対比も、意味があるんじゃないかなと思います。
・この状況にあって、唯一「何者でもない」マヨールが何を選ぶかで、世界や周りの人たちの行く末も決まるんじゃないかと思います。

◎ウォーカー化という結末はありうるのか◎
・今巻を読んで、「オーフェンがウォーカーと化してしまうエンド」を恐れる気持ちは分かります。が、私はそれは無いと思っています。
・旧シリーズで放たれた、心の叫びのような「なにかあるんだ! 奇跡はないかもしれないが、それと同じものが! じゃなけりゃ、誰も生きてなんていけるものか!」や、大勢の犠牲を出した上で選んだ決断、「超人は世界を救わない。リスクは平等に背負うのが、生命のあるべき姿だ」を否定するために、わざわざ新シリーズを始めたのか?と思ったのです。
・旧シリーズから23年経ち、あれだけ血と憎悪にまみれた世界を続けていったのは、「絶対者による統治ではなく、人の手で殺し合いながら社会を存続させる」ことを選んだ決断ゆえですし。選んだのなら、それを背負い続けなけれなならない。
・そのために、オーフェン一人に委ねられる世界システムを避けなければならないのは当然ですが、それが上手く機能する前に女神が帰還してしまうのだから、第四部が今とっても大変な状況なんですけれども。

・スウェーデンボリーの言葉をそのまま受け取るなら、「失うことに意味を持っていないから、オーフェンはこの世界を見限り、超人となる素質がある」ということ。他秋田作品のシリーズでも、「喪失により得る“この世界”からの逸脱」は繰り返し語られてきました。
・『エンハウ』では、「心の喪失=獣の瞬間を永続する=精霊となる」と指摘されたミズー。アマワに「絶対的な破壊ができる力しか持っていないなら、感情は不必要。硝化するしか道はない」と言われたフリウ。
・『シャンク』では、魔力結晶の力を用いて元の魔女に戻ることもできたブリアン。『ベティ』では、「神も存在しない慈悲のないこの世界を見限って、ヘヴンへ行こう」と仇であるロングストライドに誘われたベティ。人を殺しても何も感じない、人でなしの殺人鬼という自覚があるウィリアム。シヤマニの力で死んだ父の元へ行くこともできたフラニー。
・彼ら、主に主人公たちは結局は、世界からの逸脱(超人化)を拒絶し、“この世界”へ帰還します。それは、周りの人たちとの絆や呼びかけてくれた言葉があったから。

・前の記事でも書いたように、ガンディ・ワンスロウンもそうですが、「下半身丸出しの愛の村→『エンハウ』の『グリーン・ゴースト』で登場したミッショーの透明裸族と関連?」「ディープ・ドラゴン種族の元の生態、次元渡り獣ピルグレオ→『シャンク』の次元移動生物エランキーと発生源が同じ世界?」「オーフェンの魔王術の詠唱に登場する“晶柱の檻”→『エンハウ』の、水晶檻or全てが結晶と変化し、無機物と精霊しか生まれない硝化の森と関連? 喪失=硝化?」と、他作品との関連をこじつけることは可能です。
・スウェーデンボリーは異世界から来たのですし、全ての秋田作品の世界が、多頁世界(パラレルワールド)で並列していると言えなくもない。
・ただ、秋田先生の「え? 設定なんてただの妄想っすよ」の一言で終わっちゃう可能性だってありますけどね!

・で、話を戻しますが秋田作品最長のシリーズである『オーフェン』では、最大級の「喪失による得る“この世界”からの逸脱」を突き付けられている状況です。
・その危うさは、他シリーズとは比べ物にならないくらいで、周囲の絆・言葉だけではオーフェンをこの世界に繋ぎ足りないレベルではないかと推察されます。でなければ、彼に一番長く連れ添った、一番近くにいる存在であるはずのクリーオウがあんなに怯えたりしない。
・また重ねて言いますが、それを阻止する可能性を唯一秘めた、もう一人の主人公であり旧シリーズを更新する行動を続けるマヨールが、どんな道を選ぶか今後も気になります。



スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

リセ

Author:リセ
『オーフェン』後日談連載がきっかけで誕生。秋田禎信作品の二次創作や感想など。

リンクフリーです。諸連絡は各ページの拍手などでお願いいたします。

最新記事
twitter
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。